神戸市西区の伊川谷にある
あゆみ整体整骨院です。
脳腫瘍の主なてんかん
脳腫瘍ではさまざまなてんかん発作(けいれん発作)が生じます
脳腫瘍で生じるてんかんは症候性局在関連てんかんと言います
単純部分発作:右腕だけがけいれんする
左下肢だけの痺れが生じる
むかむか吐き気が発作的におこる
ありもしないカレーの匂いがする
いつか聞いた音楽が聞こえる
視野の一部が数十秒光るなどの症状です。
複雑部分発作:ごく短時間
数秒とか意識減損(意識がなくなる,飛ぶ)という状態になるものです。
単純部分発作から意識がなくなったり
意識がぼーっとして訳がわからない動きをしたり
意識が飛んで口をモゴモゴさせて自分で覚えていないなどです。
倒れたりすることはあまりありません。
二次的に全般化する部分発作:部分発作から全般発作になるものです。
欠神発作:ほんの少しの時間だけど意識がなくて覚えていない
意識が飛んで体が動いたり体の一部がつっぱる
解っていないでおかしな動きをするなどで
脱力で倒れたりします。
間代発作:一定のリズムで,手足がガクガクするけいれんです。
強直発作:手足がつっぱるようなけいれんです。
強直間代発作:意識がなくなって白目をむいて,歯を食いしばって
泡を吹いて全身がガクガクします。
発作が止まると眠ります(一般の方がてんかんと言って一番想像しやすい発作型です)。
脳腫瘍の場合は二次的全般化がほとんどです。
開頭手術をすると
術後にけいれん発作を生じることがあります。
手術の一時的な合併症としての脳脊髄膜炎
低ナトリウム血症
術後高熱
水頭症になってもけいれん発作を生じることがあります。
これらは小児の熱性痙攣と同じように
「てんかん」と呼ばないほうがいいでしょう。
その後に継続して発作を生じることがほとんどないからです。
てんかんの病名がつくと成人では運転免許を失うことになります。
多くは,退院後に抗てんかん薬を服用する必要はありません。
大脳皮質にダメージを生じる腫瘍です。
大脳基底核
視床
脳幹部
小脳の腫瘍ではてんかん発作は滅多にありません。
髄膜腫
グリオーマ
転移性脳腫瘍が代表的なものです。
悪性度の高い腫瘍ほどてんかんを生じる確率が高いです。
低悪性度グリオーマでは6割以上,膠芽腫では5割程度の患者さんがてんかん発作を生じるといわれています。
グリオーマの中でも特に乏突起膠細胞系腫瘍はてんかん発作のリスクが高いです。
小児の難治性てんかんには
グレード1の腫瘍が多いです。
DNT,神経節膠腫
大脳の毛様細胞性星細胞腫などです。
腫瘍を高線量の放射線治療で治療した後の放射線脳壊死では
難治性のてんかんを生じます。
治療は
脳腫瘍関連てんかんの治療には
抗てんかん薬 AEDs を使います。
手術で腫瘍を摘出することによって
脳浮腫が改善したり
てんかん焦点になっている脳皮質が
切除されることによっても症候性てんかんは治ります。
乏突起膠腫ではテモゾロマイド化学療法で腫瘍が縮小するとてんかん発作が抑制されます。
放射線治療で腫瘍が縮小や消失した時にもてんかん発作が改善することがあります。
てんかん発作のない患者さんに対する脳腫瘍開頭手術前の
予防的な抗てんかん薬投与は利点がないとされています。
薬
発作の種類と腫瘍の種類で使う薬剤はいろいろ異なります。
腫瘍の予後と発作タイプと薬剤にかなりの知識がないと使えません。
また新薬の薬剤費がとても高いので
発作を抑制できるなら出来る限り安い薬を使います。
部分てんかん発作の抑制効果と安価という利点で
テグレトール(カルバマゼピン)が頻用されています。
でも例えば,グリオーマの部分発作(2次性全般化も)には
第一選択薬はイーケプラ(レベチラセタム)で,第二選択薬はデパケン(バルプロ酸)です
次いで,ラコサミド(ラコサミド)
ラミクタール(ラミトリジン
エクセグラン(ゾニザミド)などです。
発作の抑制力が強いといってもイーケプラの欠点は薬剤費が高いことです。
補助がない場合には1月に数千円の医療費が増えます。
ラコサミドはまだ日本で市販されていません。
ラミクタールも値段が高いです,
エクセグランを脳腫瘍の患者さんに使用すると精神症状を出す可能性が高いです。
テグレトールをはじめ
様々な抗てんかん薬はアレルギーを生じやすいので
飲み始めて10日から2週間くらいで
体のあちこちに赤い発疹(薬疹)が出た時には中断します。